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社労士の仕事

開業以来、様々な種類の仕事について、依頼を頂戴してきた。なかには、これは社労士の仕事かな?と思う案件もあったが、基本的には、お断りせずにできるだけ受けることにしている。

ある時、蕎麦屋の開店で内装工事を手掛けた大手施工業者から仕事の依頼があった。工事に不備が見つかったため、開店して調子に乗ってきたお店を3週間閉め、やり直しの工事をしなくてはならない。その蕎麦屋の御主人はなかなか難しい方で、強烈なクレームが寄せられている状況で、どのように交渉を進めていいかわからない。御主人が納得するような提案をしたいので、企画を考えてほしいとの依頼だった。

明らかに社労士の仕事ではないと思ったが、依頼に来られた支店長が窮地に陥るほど困り果てていたので、受けることにした。私どもの顧問先の企画会社とダッグを組み、休業案内の仕方、休業中に来店されたお客様へのサービス券の配布、休業中のアルバイトへの賃金補償、リニュアルオープンの告知(TV、ラジオ、雑誌、折込チラシ)、リニュアルオープンセールでの記念品の配布、新メニューなど多岐に渡り提案書を作成し、無事、御主人の了承を取り付けることができた。

開業して間もない頃、旧知の社長から電話があった。「小島さんに仕事をお願いしたいんだけど・・・」
開業当初は、基本的に仕事がないわけで、藁をもつかむ思いで、「はい、どんな仕事でしょうか」と尋ねた。社長は話を始めた。「ついに結婚することになってね。それで一応、来月、披露宴をやった方がいいと思って・・・。ほら、俺3回目だからさ、とにかく楽しい披露宴にしたいんだよねえ。小島さん、都合は大丈夫?」

依頼される仕事の内容が想像できないまま、とりあえず、その日は都合がつくことを伝え、話の続きを聴いた。前半の話からわかったことは、その社長が結婚すること(3回目)、翌月披露宴があること、場所は○○温泉の旅館だということだった。

「そこでお願いがあってね」ここから、いよいよ仕事の依頼についての本題だと思い、耳に当てた携帯電話に集中した。「プロの司会者に頼むと、最後に涙を誘う感動の場面をつくるじゃない。あれはやめてほしいんだよね。3回目だからさ、涙じゃなくて笑いだよね。小島さん、頼むよ」しばらく間があり「司会やってよ」と、最後に仕事の内容が判明した。

「結婚おめでとうございます。私の司会では、せっかくの社長の披露宴が・・・。それに、司会だと飲めないし・・・」とできない理由をいろいろ探してやんわりとお断りしてみたが、「大丈夫。それに司会席にもうまい酒とワインをたっぷり用意するから、飲みながらでいいからやって。頼む!」と結局は押し切られた。

そして当日。会場に着くと、早速旅館の責任者が私のところに歩み寄り、挨拶もそこそこに、式次第を片手に持ちながら、照明が、ミュージックがと、私に説明を始めた。長い一方的な説明が終わったので、「申し訳ありません。披露宴の司会は初めてなので、緊張していて、今の説明は正直ほとんど頭に入りませんでした。やれることをやりますので、あとは臨機応変にお願いします」と頭を下げた。

開宴5分前。会場の様子を眺めながら司会席につくと、先ほどの責任者が「お預かりしていたこれをお渡しするのを忘れていました」と、たすきを私の首にかけてくれた。そのたすきには、「日本一の司会者」と大きく書かれていた。

司会者も普通でなかったが、新郎新婦も普通ではなかった。お色直しで引っ込んだと思ったら、ピンクの照明の下、二人そろって、はげちょびん親父と白鳥の首が股から出ている衣装で登場してきた。旅館のベテラン配膳係が「あたし30年この仕事をやってるけど、こんな披露宴初めて見たわ」と目を白黒させていた。

御礼の挨拶をすませた新郎新婦を照らしていたスポットライトが消え、楽しい披露宴がお開きとなり、私の任務も無事終了した。ほっとした瞬間、薄暗い会場の奥から、席を立ち前方に突進してくる一人の老紳士の姿が確認できた。逆光の中、間近に迫ったその顔を見て驚いた。新郎のお父様だった。

司会席に歩み寄り、マイクをスタンドからもぎ取ると、元市議会議員であった老紳士は張りのあるバリトンで、集まった方々への御礼を会場一杯に響かせた。演説調の挨拶は続き、「最後になりましたが、皆様に一つお詫びをしなければなりません」と、ここで声のトーンを落とした。どんな話が出てくるのかと、ざわついていた会場が急に静まり返った。

「今日、『日本一の司会者』のたすきを用意しましたが、これは私の失敗でした」突然、司会者の話になり、私の心臓は高鳴った。司会をしながら結構な量の酒を飲み、羽目をはずしすぎたのだろうか。何か失礼でもあったのだろうか。今日の仕事振りを頭の中で振り返っていると、再びバリトンが響いた。

「日本一ではなく『世界一の司会者』のたすきを用意すべきでした。深く反省しお詫び申し上げます」と挨拶を結び、司会の労をねぎらってくださった。会場が再び笑いと拍手で包まれた。 (小島 正晴)
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