FC2ブログ

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://officemasa.blog40.fc2.com/tb.php/68-a1a95b2f

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

トワイライトエクスプレス

 東京での仕事が終わり、最終の新幹線に飛び乗った。4月というのに気温が上がり、人混みの中を早足で歩いたせいもあり、車内が梅雨時のように蒸し暑く感じられた。疲れているはずなのだが、シートに身を沈めてみても神経が冴えていて眠れそうになかった。バッグのなかに入っていた文庫本を取り出し読もうとしたが、すでに読み終えた本だった。

 ふと車内を見渡してみると、車両の一番後ろの棚に電話帳のように分厚い時刻表が置いてあった。暇なときはこれに限る。あてもなく時刻表をめくり始めた。新幹線が大宮駅を過ぎスピードを上げ始めた頃、時刻表のページをめくる指が不意に止まった。そのページにあった奇妙な列車を発見したからだ。

 新津駅を発車すると次の停車駅は洞爺駅(北海道洞爺湖町)。始発駅の大阪を11時50分に発車し、新大阪、京都、敦賀、福井、金沢、高岡、富山、直江津、長岡と停車。19時39分に新津駅を出た後は、翌日7時18分に洞爺駅に停車し、東室蘭、登別、苫小牧、南千歳、そして終点の札幌駅には9時52分に到着する。新津の次の駅が北海道か。俄然、興味が湧いてきた。これなら、金曜日の仕事を終えた後、新津駅から乗車し、週末を札幌で過ごし、日曜の夕方、飛行機で新潟に帰ればいい。頭の中でのプランニングが完了した。

 妻にこのことを話したら、興味を持ってくれ、ゴーサインがでた。第一関門は突破した。しかし、次なる関門が待っていた。調べてみると、その列車はトワイライトエクスプレスと言う粋な名称がついており人気が高く、寝台チケットの入手がかなり困難とのこと。1カ月前の午前10時にみどりの窓口に行き・・・、と入手方法が記されていたが、面倒くさがり屋の私には所詮無理。そこで、インターネットオークションを覗いてみたら、あるではないか。見事、札幌行きのチケットを競り落とし、準備完了。

 当日は大型連休の狭間であり、少々早めに仕事を切り上げ駅に向かった。当初、19時39分に新津駅から乗車する予定だったが、その時刻ではすでに真っ暗で、肝心のトワイライト気分が味わえない。直江津駅から乗れば、この時季ならちょうど鯨波付近で日本海に沈む夕日にお目にかかれるはずと思い、金沢行の特急北越に駆け込み、一旦、札幌とは逆方向に進路を取った。

 定刻どおり直江津駅の5番ホームに、深緑の塗装がなされた9両編成のトワイライトエクスプレス号が、電気機関車に引かれ優雅に入線してきた。早速2号車に乗り込み5号室に入り荷物を置くと、17時59分、滑るように列車は直江津駅を発車した。車掌が個室の設備について説明をし、次に食堂車のスタッフがウエルカムドリンクの注文を聞きにきた。列車が海沿いに出た。赤ワインのグラスを片手に4号車サロンカーに移動しソファーでくつろぎ、ワイドビューが楽しめる大きな窓から静かな日本海を眺めた。薄曇りの空をオレンジ色でにじませながら、太陽は沈んでいった。

 やがて列車が新津駅に差し掛かるころ、車内放送でディナーの準備が整ったとのアナウンスがあった。食堂車で改めてワインを注文し、列車での料理を満喫した。その後、トワイライトエクスプレス号は、日本海沿いをひたすら北上し、眠りにつくころは秋田付近を走行していた。ワインの酔いを感じながらうとうととしていると、急に窓が霧で曇り、体が海底百メートまで吸い込まれるような感覚に陥った。青函トンネルに突入したに違いない。次に目を覚ますと、眼前には津軽海峡の眺望が広がり、その先に下北半島が見えた。いつの間にか北の大地に上陸したようだ。

 朝7時を過ぎる頃、列車は内浦湾のヘリを沿うように走り、新津の次の駅である洞爺に停車し、約12時間ぶりに客車の扉が開いた。この駅で積み込んだ朝刊がモーニングコーヒーと共に部屋まで届けられた。室蘭付近で再び食堂車に移り、朝食を取りながら、昭和新山や樽前山といった北海道の雄大な風景を車窓から味わい、終点の札幌には9時52分に到着した。約16時間のあっという間の旅だった。久しぶりに旅と言える旅だった。札幌の街は、5月というのに氷のような小雨が降っていた。(小島 正晴)
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://officemasa.blog40.fc2.com/tb.php/68-a1a95b2f

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。