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年末の贈物

 クリスマスも終わり、残りわずかになったとき、神様からふたつの贈物が届いた。

 前日の夜、お客様の会社に書類を届け、自宅に向かって車を走らせた。交差点で赤信号のため停車した。右折車線で信号待ちをしていた私の左隣の車が、まだ赤なのに突然発進した。その1秒後、左から青信号で直進してきた軽自動車と、交差点の真ん中でガシャーンと音を立て衝突した。軽自動車は前部が激しく壊れ、エアーバックのガスが白く噴き出した。

 私は車を脇に寄せ、駆け寄った。軽自動車の運転手の若い女性は頭から出血があり、動揺して泣き出した。近所の方にタオルを持ってきてもらい、救急車を呼んだ。その後、目撃者として警察の事情聴取を受けた。赤信号で飛び出した運転手は、助手席側に落とした小物を拾おうと屈みこんで手を伸ばしていたところ、青になったと勘違いして急いで発進したと、警察官に話していた。

 小雪が舞う中、小一時間外にいた私は、帰宅しても震えが止まらないので、熱めの風呂に入り横になった。
明くる日、オフィスに出勤したが寒気とだるさがあり、念のため隣の逓信病院に行った。「陽性です」と告げられ、その日の予定をすべてキャンセルした。インフルエンザの予防接種を受けていたので、熱も37℃しかなく症状も軽くすんだ。しかし、自宅では3日間トイレ以外完全に隔離された。ほかにやることもなく、3日間ひたすら本を読んだ。こんなに集中して本を読み続けられたのは、初めての経験だった。
神様からの素敵な贈物だった。

 読書三昧をしていたら、オフィスに出勤しているスタッフから一通のメールが届いた。「代行の○○様よりお財布を預かりました。助手席の下に落ちていたそうです。今まで車を修理に出していて発見が遅れたそうです。申し訳ありませんでしたとお伝えくださいとのことでした」状況を把握するまで1分ほどの時間を要した。

 財布とは、もちろん私の財布のことだが、その財布は昨日今日なくしたものではない。夏の蒸し暑い夜、突然行方不明になった財布のことを言っているに違いなかった。その日はゴルフの表彰式があり、冷えたビールを体に流し込み、なじみの運転代行で帰宅した。自宅に着き代行料金を払おうとしたが、あるはずの財布がない。私の車の中はもちろん、代行の車内も探したが出てこなかった。車のコインケースにあった百円玉と五百円玉を集め、なんとか代行料金を支払った。飲んだ店にも電話をしたが見つからず、「万事休す」であった。

 なくなったものは仕方がない。妻に報告すると面倒なことになるので、翌日、なくした財布と同じ物を買い、なくした事実を消し去った。そして、その出来事をすっかり忘れるほどの時が過ぎた。
 
 4カ月ぶりに再会を果たした財布は、ずいぶんとやつれていた。二代目の財布はモスグリーンの輝きをつやつやと放っているが、初代のそれは、グリーンが色褪せ、ほとんど茶色に近く、萎びた葉っぱのようだ。しかし、中身はしっかりと確実に保たれていた。
 
 あの日、東堀で代行車の後部座席に座り、オフィスの駐車場まで来た。その時に財布が助手席の下にもぐり込んだのだ。4カ月後その車を修理に出し、財布が発見された。そして、わざわざオフィスまで財布を届けてくれたのだった。代行業者に電話をかけ、御礼を伝えた。すると、「発見が遅くなってすみませんでした。それで今日はどちらに」「今日はインフルエンザのため家でおとなしくしていますので、今度の忘年会の後、使わせてもらいますね」
 
 4カ月ぶりに戻ってきてくれた初代の財布と二代目を交互に眺め、感慨に浸った。(小島 正晴)

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